【2028年に義務化へ】50人未満の事業場がストレスチェックを導入するメリットと今行うべき準備を社労士が解説④~企業を強くする仕組みとして活かす~

こんにちは、社会保険労務士の飯村です。

政府は2028年までに、ストレスチェック制度を全事業場へ義務化する方針を決定しました。
これまで対象外だった従業員50人未満の小規模事業場でも、実施が必須になります。

小規模企業は人員が限られる分、「1人の不調」が大きな影響を与えやすく、ストレスチェックの導入には大きな価値があります。
さらに、義務化前に準備を進めておくことで、企業としての信頼性や採用力を高めることにもつながります。

本記事では、ストレスチェックを導入するメリットと、義務化に備えて小規模企業が今行うべき準備を、社労士の視点で分かりやすく解説します。

👉参考:厚生労働省:ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会

1. 小規模企業がストレスチェックを導入するメリット

ストレスチェック制度の主な目的は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止です。従業員自身が、自分のストレス状態を把握できる機会をつくることで、セルフケアを進めるきっかけになります。

① メンタル不調の早期発見につながる

従業員数が少ない企業では、1人の体調不良が業務全体を止めることもあります。
年1回のストレスチェックは、見えにくい不調を早期に把握するための重要な機会です。

② 離職防止と定着促進につながる

小規模企業は採用も簡単ではないため、「辞めない職場づくり」は最重要テーマです。
ストレスチェックは改善のきっかけをつくり、離職防止に繋がります。

③ 職場環境改善につながる

ストレスの要因(仕事量・役割・人間関係など)が可視化されるため、改善の方向性が明確になります。

④ 経営者の負担を軽減できる

「従業員の変化に気づけない」という心理的負担を、制度として補完できます。

2. 義務化に向けて、小規模企業が今すぐ取り組むべき3つの準備

ストレスチェック全事業場義務化に向けて、「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」が2026年中に公表される予定です。
その後、2年をかけてマニュアルが周知されます。

2028年の義務化まで数年ありますが、小規模企業ほど事前準備が重要です。

ここでは、社労士として特に強くおすすめしたい3つのポイントを紹介します。

① 外部委託導入に備えてDX化を進める

ストレスチェックの実施者は、産業医などの専門家が行いますが、小規模企業には選任が難しいため、外部委託するケースが多い見込みです。

厚生労働省でも、「原則として、労働者のプライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨され」る、としています。

👉参考:厚生労働省:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(素案)

ストレスチェックは紙でも実施できますが、外部委託の場合は Web受検が最もスムーズで確実です。

義務化後は多くの企業が外部委託を検討するため、Web受検環境(メールアドレス・スマホ・PC利用ルール等)を整えておくことが重要です。

DX化の準備例

  • 全従業員にメールアドレスを付与
  • スマホ・PCでの受検ルール整備
  • Webサービス導入に向けた社内体制づくり
  • 外部委託先の比較検討

「ITが苦手な企業ほど、早めの準備」が後々の混乱を避けるポイントです。

② 従業員との信頼関係を育てておく

個人情報保護の安心感と、改善に協力してもらう関係の構築がとても重要です。

ストレスチェックは、従業員の本音が集まってこそ意味があります。
そのためには会社が情報を正しく扱うことへの信頼が不可欠です。

特に小規模企業では、「社長に丸見えなのでは?」という不安が生まれやすいため、義務化前から次の姿勢を示すことが大切です。

信頼関係構築のポイント
  • 結果は本人の同意なしに会社は見られない
  • 目的は評価ではなく健康と職場環境の改善
  • 誰かを責めるためには使わない
  • 改善のために一緒に取り組む姿勢を示す

この土台づくりができている企業は、制度導入後の運用が格段にスムーズになります。

③ 選ばれる企業になるための「価値」

社労士が経営者にお伝えする「メンタルヘルスの重要性」

ストレスチェックの導入・運用ができている企業は、採用市場で働きやすい企業として高く評価されます。

求職者は、「給与」だけでなく「健康的に働けるか」「安心して働ける職場か」 を重視する時代になりました。

そのため、「うちはストレスチェックを実施し、改善にも取り組んでいます」という姿勢は、採用競争力を大きく高めます。

ここで重要なのが、ストレスチェック導入前に、経営者自身がメンタルヘルスの重要性を理解することです

  • メンタル不調による離職は小規模企業の事業継続に直結する
  • 不調を早期発見できる企業は生産性・定着率が高い
  • メンタルヘルス対策は「コスト」ではなく「経営投資」
  • 制度を整えた企業は採用で選ばれやすい

これらを理解した企業は、義務化に備えるだけでなく、メンタルヘルスを企業価値に変えられる企業になります。

社労士は、導入支援〜説明〜改善提案まで伴走できる専門家として、企業が「選ばれる存在」へ変わるサポートを行います。

3.導入チェックリスト

2028年義務化に向けた準備項目のチェックリストです。

【A. DX・Web受検への準備】

  • 従業員が個別に使用できるメールアドレスは確保できている
  • スマホ・PCでWeb受検できる環境がある
  • インターネット利用ルールが整備されている
  • 給与明細や勤怠管理、経理システムなど、DX化しているものが既にある

【B. 従業員との信頼関係づくり】

  • 個人情報保護を従業員に説明できる関係性ができている
  • 職場環境改善に協力してもらうための話し合いを行える仕組みがある
  • ハラスメントが起きにくいコミュニケーション環境づくりを進めている
  • 従業員が相談しやすい窓口(社内・外部)を確保している

【C. 職場環境改善の準備】

  1. 従業員一人一人の労働時間・業務量の偏りを把握している
  2. 忙しい時期・欠員時に応援を配置できる体制がある
  3. 1on1ミーティングまたは月1回の面談などの習慣がある

【D. 採用力向上の準備】

  • ホームページや求人票に福利厚生・相談体制を明記している
  • メンター制度や、新入社員が安心できるオンボーディング体制がある
  • 離職率を把握し、改善に取り組む意識がある

【E. 外部専門家との連携準備】

  • 社労士・産業医・保健師・外部サービスの活用が検討段階にある
  • ストレスチェックの運用担当者(社内の窓口)を決めているまたはすぐに決められる
  • 休職後の職場復帰などで、産業医や地域産業保健センターに相談したことがある

→ 上記のうち半分以上チェックがつく企業は、義務化後スムーズに運用できる状態です。
まだチェックが少ない企業は、早めの準備が安心につながります。

4.まとめ:義務化は小規模企業を守る制度

2028年にすべての事業場でストレスチェックが義務化されることは、小規模企業にとって「負担」ではなく
「組織を守り、人を守る制度が手に入る」ということです。

そのためにも、小規模企業が今できることは、
① DX環境整備
② 信頼関係構築
③ 採用力強化の準備

の3つです。

「導入できる企業」「選ばれる企業」になるためにも、ぜひ早めの準備を進めていきましょう。

当事務所は、制度導入・外部委託選定・社内説明・運用改善まで総合的にサポートいたします。
ぜひお問い合わせください。初回のご相談は無料です。

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