
こんにちは、社会保険労務士の飯村です。
現代の企業経営において、従業員のメンタルヘルスの保持増進は不可欠なテーマです。
2015年から義務化されたストレスチェック制度は、単に高ストレス者を発見するだけでなく、職場の見えないストレスを発見し、職場環境改善につなげ、生産性向上を図るための重要なツールです。
本記事では、社労士の視点から、ストレスチェック結果を活用した集団分析と、その後の効果的な職場環境改善のポイントを分かりやすく解説します。
👉ご参考:厚生労働省 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル
1. 集団分析の目的とルール
ストレスチェック制度の主たる目的は、メンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)です。この目的を達成するための要となるのが集団分析です。
集団分析の目的:職場のストレス要因を可視化する
集団分析とは、ストレスチェックの結果を一定規模の集団(部や課など)ごとに集計・分析し、当該集団のストレスの特徴や傾向を把握することです。
これにより、事業者は職場におけるストレス要因を評価し、その要因を低減するための具体的な対策を講じることができます。
集団分析では、主に以下の3つの領域を数値化して把握します。
- 職場における心理的な負担の原因に関する項目(仕事の量的・質的負担など)
- 心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
- 職場における他の労働者による支援に関する項目(上司・同僚のサポートなど)
これらの結果を、同業他社のデータや過去の結果と比較することで、自社の強みと弱みを明確にできます。
個人情報保護のための「10人ルール」
集計・分析の単位が10人未満である場合、個々の労働者が特定される恐れがあるため、すべての労働者の同意を得ないと事業者に結果を提供してはいけないこととなっていますので、注意が必要です。
ただし、ストレスチェックの評価点の総計の平均値を求める方法など個人が特定されるおそれのない方法であれば、集団分析は可能です。
また、他の部署と合わせて集団分析を行うことも可能です。
2. 職場環境改善を成功させる3つのポイント
集団分析で問題点が明確になったら、いよいよ職場環境改善に着手します。
労働安全衛生法上の努力義務ですが、労働者のストレス軽減だけでなく、組織の活性化と生産性の向上という効果が期待できる活動です。
ポイント①:目的をポジティブに設定する
職場改善を円滑に進めるためには、管理監督者が前向きに取り組めるような工夫が必要です。
「ストレスが高い部署だから改善が必要」といったネガティブな指示ではなく、「従業員がいきいきして活気のある職場づくりのため」といったポジティブな目標を設定することが、活動の成功の秘訣です。
職場の悪い点だけではなく、強みを伸ばす視点を持つことも有効です。
ポイント②:PDCAサイクルで継続的に取り組む
職場環境改善は一度きりで終わるものではありません。継続的かつ計画的に進めるためのマネジメントサイクル(PDCA)が重要です。
- Plan(計画):集団分析結果に基づき、改善計画を立案する。
- Do(実行):計画を実行に移す。
- Check(評価):改善策の効果を評価する。
- Action(改善):評価結果に基づき、次回の計画に活かす。
改善の取り組みの進め方は、衛生委員会等で事前に調査審議を行い、社内規程として定めることが望ましいとされています。
ポイント③:自社に合った推進体制を選ぶ
職場環境改善の取り組み方には、いくつかの類型があり、事業場の状況に応じて最適な体制を選択できます。
- 経営層主導型:労働時間削減や人員配置など、事業場全体の取り組みが必要な場合に有効です。
- 管理監督者主導型:部署ごとの集団分析結果をもとに、管理監督者が中心となって対策を進めます。
- 従業員参加型:従業員を巻き込み、現場の意見を取り入れた改善活動を行います。
例えば、職場内の連携不足が課題とされた部署で、定期的なミーティングの機会を設けることを計画・実行したところ、情報共有が進み、無駄な作業が減るという効果が見られた事例もあります。
3. まとめ:社労士が職場の活性化をサポートします
ストレスチェックの集団分析は、職場の健康状態を示す羅針盤です。
正しく読み解き、適切な職場環境改善を実行することで、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぎ、企業の持続的な成長と生産性の向上に貢献できます。
職場環境改善は、法令遵守はもちろん、事業経営の一環として積極的に活用することが望ましいとされています。
外部委託する場合の委託先の選定、集団分析の結果の解釈や、衛生委員会での規程策定、効果的な改善計画の立案・実行についてお悩みの事業主様は、ぜひ社会保険労務士にご相談ください。
貴社の実態に合わせた最適なサポートを提供し、いきいきと働ける職場づくりをご支援いたします。
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