
こんにちは、社会保険労務士事務所の飯村です。
「従業員から有休を取りたいと言われたけれど、どう対応すればいい?」
開業したばかりの経営者の方から、非常によくいただく質問です。
有給休暇は、会社の福利厚生ではなく法律で定められた制度です。
正しく付与・管理できていないと、知らないうちに法令違反になってしまう可能性もあります。
- 有休は6か月勤務+8割出勤で付与
- 年10日以上なら年5日取得義務あり
- 管理は「基準日・残日数・取得状況」がポイント
の基本を押さえておきましょう。
この記事では、有休の基本から管理方法、年5日取得義務、実務で気を付けたいポイントまで、初めて雇用する経営者向けに社労士が分かりやすく解説します。
有給休暇とは?まずは基本を理解
年次有給休暇(有休)は、一定の条件を満たした労働者に対し、賃金を支払いながら休暇を与える制度です。
以下の条件を満たした場合、会社は有休を付与する義務があります。
- 入社から6か月継続勤務
- 全労働日の8割以上出勤
| 雇入れの日から起算した勤続期間 | 付与される休暇の日数 |
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
一般の労働者(週所定労働時間が30時間以上、所定労働日数が週5日以上の労働者、又は1年間の所定労働日数が217日以上の労働者)の場合。
例えば週5日勤務の場合、6か月経過時に10日付与されます。
💡パート・アルバイトでも条件を満たせば比例付与が必要です
週所定労働時間が30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下、又は1年間の所定労働日数が48日から216日までの方は、下記の通り比例付与されます。
週所定
労働日数1年間の所定
労働日数0.5か月 1.5か月 2.5か月 3.5か月 4.5か月 5.5か月 6.5か月以上 4日 169日~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日 3日 121日~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日 2日 73日~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日 1日 48日~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日
有休は会社が決めるもの?それとも従業員?
原則として、有休は「労働者が希望した日に取得する」ものです。
業務に重大な支障がある場合には、会社が取得時期の変更を求める「時季変更権」がありますが、単なる人手不足などを理由に安易に変更することはできません。
トラブル防止のためにも、取得しやすい環境づくりが重要です。
有給管理の基本 まず押さえる3つ
有休管理では、次の3つを必ず把握しておきましょう。
- 付与日(基準日)
- 付与日数
- 使用日数と残日数
また、会社は「年次有給休暇管理簿」を作成し、3年間保存する必要があります。
年5日取得義務とは?知らないと危険なポイント
2019年の法改正により、年10日以上の有休が付与される従業員については、会社に次の義務が課されています。
👉 年5日以上、有休を取得させること
対象者:
- 年10日以上の有休が付与される労働者(管理監督者含む)
重要なポイント:
- 付与日(基準日)から1年以内に5日取得が必要
- 従業員が自主的に取得しない場合は、会社が時季指定する必要あり
- 労働者の意見を聴取し、尊重することが求められる
- パートアルバイトでも、10日以上付与される方は対象になる
【罰則があります】 年5日の有休を取得させなかった場合:30万円以下の罰金
時季指定って何?実務の考え方
有休は本来、労働者が申請するものですが、取得率が低いことから制度が見直されました。
会社は次の流れで対応します。
- 労働者の取得状況を確認
- 不足日数を把握
- 本人の意見を聴いたうえで取得日を指定
例:
- 自主取得5日 → 時季指定不要
- 自主取得3日 → 会社が2日指定
【罰則があります】 時季指定を行う場合に就業規則に定めていない場合:30万円以下の罰金
時季指定は、休暇に関する事項として就業規則の絶対的記載事項のため、就業規則への記載が必要です。
4月1日一斉付与の会社は「3月」がチェック時期
毎年4月1日に一斉付与している会社では、3月末が近づくと次の確認が重要になります。
- 年5日取得できているか
- 未取得者はいないか
- 時季指定が必要な従業員はいないか
直前に焦らないためにも、年間スケジュールとして定期的な確認をおすすめします。
一斉付与とは
基準日が人ごとに異なると、だれがいつまでに有休を5日取得しなければならないか、管理が煩雑になります。そのため、基準日を年始や年度初めに統一する、月初に統一する等の方法があります。
有休管理は手作業でもできる?開業初期の落とし穴
開業したばかりの企業では、Excel管理が一般的です。
しかし、次のような問題が起こりやすくなります。
- 基準日が社員ごとに違う
- 年5日取得の確認漏れ
- 残日数計算のミス
人数が増えてから管理方法を見直すより、早い段階で仕組みを整える方が効率的です。
勤怠管理システム導入という選択肢
最近は、有休管理を自動化できる勤怠管理システムも増えています。
導入のメリット:
- 有休残日数の自動計算
- 年5日取得のアラート
- 取得状況の見える化
- 法改正対応のしやすさ
「まだ小規模だから」と後回しにしがちですが、将来の労務トラブル防止という意味でも検討価値があります。
まとめ|有休は「法律+仕組み」で無理なく運用
有給休暇は、企業と従業員の信頼関係にも関わる重要な制度です。
開業したばかりの企業では、有休管理を「なんとなく」で運用してしまいがちです。
しかし、制度はシンプルに見えて個別判断が必要な場面も多くあります。
自社の状況に合わせた運用に迷った場合は、専門家に相談しながら整備することも選択肢のひとつです。
開業したての段階では、まず次の3つを意識しましょう。
- 正しく付与する
- 年5日取得義務を理解する
- 管理しやすい仕組みを整える
制度を理解しておくことで、慌てず安心して労務管理ができるようになります。

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