
こんにちは、社会保険労務士の飯村です。
事業が軌道に乗り始め、「そろそろ新しい仲間を増やしたい」と考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。
最近ではハローワークだけでなく、ネットの求人媒体や自社のSNS(XやInstagramなど)を活用して手軽に募集ができるようになりました。
しかし、ハローワークと違って窓口でのチェックがないため、知らず知らずのうちに法律(職業安定法)に違反してしまうリスクがあります。
今回は、初めて求人を出す経営者が絶対に押さえておくべき注意点を、媒体別に分かりやすくまとめました。
1. ネット求人媒体・自社サイトで出す際の注意点
求人サイトや自社の採用ページに情報を掲載する場合、最も重要なルールは、「情報を正確かつ最新の内容に保つこと」です。
👉厚生労働省:労働者の募集ルールが変わります
的確な表示の義務化
求人内容について、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示は禁止されています。
例えば、実際には「正社員」ではないのに「正社員募集」と謳ったり、実際の賃金よりも高い金額を掲載したりすることは法律違反となる可能性があります。
💡フリーランス(委託)の募集と雇用契約の募集を混同する内容となっていないか、注意してください
速やかな更新
募集を終了したり、内容を変更したりした場合は、速やかに掲載を終了するか内容を修正しなければなりません。
求人企業には、求人情報を正確かつ最新の内容に保つ義務があります。
募集を終了・内容変更したら、速やかに求人情報の提供を終了・内容を変更します。
いつの時点(募集開始・変更日等)の求人情報かも明らかにします。
誤解を招く表現の禁止
モデル給与をあたかも全員に支払われる基本給のように表示したり、固定残業代を含んでいるのにその金額や労働時間を明記せずに基本給を高く見せたりすることは、誤解を生じさせる表示に該当します。
💡固定残業代の書き方
固定残業代を支払う場合は、以下のように内訳を明確に分けることが義務付けられています。
- 基本給:固定残業代を除いた金額
- 固定残業代の内容:
- 手当の名称(例:業務手当、固定残業手当など)
- 「時間外労働の有無にかかわらず支給する」という旨
- 何時間分の残業代としていくら支払うのかという具体的な数字
- 超過分の支払いについて:設定した時間を超えて残業した場合には、「割増賃金を追加で支払う」という旨を明記する
👉厚生労働省:固定残業代 を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします
2. 自社のSNS(X・Instagram等)で出す際の注意点
手軽なSNSでの募集ですが、実はリンクを貼るだけでは不十分な場合があります。
昨今の闇バイト問題を受け、ルールが厳格化されています。
「6つの必須情報」を投稿に含める
SNSで直接募集を行う際は、以下の6つの情報を必ず記載しなければなりません。
- 氏名(名称)
- 住所(ビル名や部屋番号まで詳細に)
- 連絡先(電話番号、メール、または問い合わせフォームのリンク)
- 業務内容
- 就業場所
- 賃金
「詳細はリンク先へ」はNG
投稿自体にこれらの情報が欠けている場合、たとえ自社サイトへのリンクを貼っていたとしても法令違反となります。
投稿を見た人が一目で「どこの誰が、どんな条件で募集しているか」を正しく理解できるようにする必要があります。
👉厚生労働省:SNS等を通じて直接労働者を募集する際には氏名(名称)・住所・連絡先・業務内容・就業場所・賃金を記載しましょう
3. 全媒体共通:2024年4月からの最新ルール
2024年4月より、求人時に明示すべき労働条件が追加されました。どの媒体を使う場合でも、以下の項目を網羅しているか確認しましょう。
従事すべき業務・就業場所の変更の範囲
雇入れ直後の内容だけでなく、将来的な配置転換や転勤の可能性がある範囲(「当社業務全般」「全国の支社」など)も記載が必要です。
有期労働契約の更新基準
契約期間の定めがある場合、更新の有無や、更新する場合の判断基準(勤務成績や会社の経営状況など)、更新回数の上限などを明示しなければなりません。
👉厚生労働省:募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!
4. もし条件が変わったら?変更明示のルール
面接が進む中で、当初の求人票と異なる条件(例:給与額の確定など)を提示することもあるでしょう。
その場合は、労働契約を結ぶまでの間に、速やかに変更内容を相手に知らせる必要があります。
変更を伝える際は、「当初の条件とどこが変わったのか」が比較できる書面を渡すことが望ましいとされています。
5.求職者の信頼を守る 個人情報取扱いのルール
求人募集の際、求職者の個人情報を適切に扱っていますか?
職業安定法の改正により、個人情報の取扱いに関するルールが新しくなっています。
最も重要なのは、情報を収集する際に利用目的を明らかにすることです。
求職者が一般的かつ合理的に想定できる程度に、具体的かつ明確に目的を示す必要があります。
- 適切な明示の例:「自社の採用選考のため」「面接日程の連絡のため」「募集ポストに関するメールマガジン配信のため」など。
- 不適切な例(NG):自社用と偽ってグループ会社の選考にも利用する、求人と無関係なサービスへ入会させる、といった目的外の利用。
- 業務の目的の達成に必要な範囲内で、求職者の個人情報を収集・使用・保管すること
- 業務上知り得た人の秘密を漏らさないこと
- 求職者の個人情報をみだりに第三者に提供しないこと
また、取得した情報は、採用活動という目的達成に必要な範囲内でのみ収集・使用・保管しなければなりません。
経営者には業務上知り得た求職者の秘密を漏らさない義務や、個人情報をみだりに第三者へ提供しない義務も課せられています。
開業したての時期だからこそ、透明性の高い情報管理を徹底し、求職者から信頼される基盤を整えましょう。
経営者の皆様へアドバイス
求人広告は、未来の従業員との大切な最初の約束です。
適正な求人を出すことは、トラブルを防ぐだけでなく、貴社の信頼性を高めることにもつながります。
ルールを守って、素晴らしい人材との出会いを見つけてください。

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